時々康駿    第1回(2012.5.1.)       


 4月28日から30日まで岩手県北上陸上競技協会主催の強化練習会に参加した。
 

 到着の日は「北上展勝地」で夜桜を味わう。
 ここは2kmに渡る桜の回廊である。梅好きが桜好きに浮気するに十分な処である。しかし、日が暮れるにつれ寒くなる。一昨年の体験で防寒具を持参したが途中で退散し、屋根の下に移った。
これまで、日本各地を歩いてきたが、この土地は疲れない場所のひとつである。毎回付き合っていただいている二人のC氏がいるが、「住んでみたくなる街の一つです」と話した。本音である。東北の文化は関東以上である。人が自然の怖さを知っている。(だから人に優しいのか)と初めて気付いた。


 翌日は最初から屋根の下で飲り始めた。
ここで被災地から来ていた国語教諭と、なぜか教科書の題材としての「羅生門」「こころ」の話から始まり、「伊集院」「司馬」「藤沢」らの作家論に転じた。話の途中、(また少し書くか)と思い立った。その時題名も決めた。北上にある「鎌倉」という店の酒と肴に話が加わり、小さな変化が脳内で発生したようだ。


 毎日同じことを繰り返しながら過ごした38年間とは全く違う生活を始めてから1ヶ月たった。
その38年間は、どれほど工夫し、どれほど努力したなどと力んで話しても、所詮「おサルの電車の運転手」だったのではなかったのか? 
 そのような生活の中で唯一、部活動指導は「慣れ」が許されないものだった。
教科指導には免許が必要であるし、多くの教員は採用試験を突破し、安住の地で過ごしている。
しかし、部活動指導に免許はいらないし、採用試験もない。したがって、部活動では指導者の温度差が目立ってくることは仕方のないことだが、生徒の将来を考えるのが教師なら、もう少し部活動を大切にしないと、生徒・指導者共倒れになりはしないか?


 雑草だらけの土地にクワを入れ、坪単位の畑を作り始めた。
草を抜き、耕し、土をつくり、ウネをつくり、種をまいた。芽が出たときの感動は…。この歳になり「言葉には表せない」ということを知ったような気がする。
 これまでは喜怒哀楽を感じるたびに誰かが聞いてくれた。今は、すべて自分が解決しなければ事が進まない。喜怒哀楽を感じても、話す相手は家人だけだ。孤独の楽しさも味わい始めた。
それでも、北上からの帰りの車内で、孤独を忘れかけている自分がいた。孤独を気付かれずに孤独を大切にしなければ。そんな付き合いが大切だ。


 さて、今日から2日間、もう少し孤独を楽しめる環境整備をしてからJUVY合宿に入っていくとするか。


 
 
  ・「康駿視点」バックナンバー 
     第1回ー人間関係ー(H23.05.08)
     第2回ー速さと強さー(H23.06.08)
     第3回ー岡島宣八先生逝くー(H23.07.08)
     第4回ーインターハイ序破急ー(H23.08.08)
     第5回ーインターハイそして世界選手権終了ー(H23.09.08)
     第6回ー 氣づき ー(H23.10.08)
     第7回ー 姿勢 ー(H23.11.08)
     第8回ー 箱根駅伝を読む ー(H23.12.08)
     第9回ー 生きる知恵 ー(H24.01.08)
     第10回ー 日誌のすすめ ー(H24.02.08)
     第11回ー 邂逅は、神の御指示 ー(H24.03.08)



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