時々康駿    第11回(2012.7.26.)       

 PCが検査入院のため安田病院(電気)に行っていたので、随分間があいた。書きたいことがあったがタイミングを逸した気がしないでもない。

 夏休みになってもう一週間が過ぎようとしている。インターハイに出場する学校は、一年で今が最も程よい緊張感で過ごす日が続いているはずだ。昔が懐かしい。明日27日あたりをピークに大部分の出場校が新潟に集結するものと思われる。 
 私も29日早朝には黒沢尻北、宮崎工業そして洛南高校をはじめ、合宿で共に鍛えあった仲間の応援に駆けつけようと思っている。 先生方の心地よい緊張感を感じながら、少ない日々ながら新潟の地で感じることをまとめたい。

 28日には佐野SAC代表で県予選を勝ち抜いた小学生の全国大会壮行会が開催される。小学生の指導は教え子のM先生にお願いしているが、地道に無理なく将来を考えて実践してくれている、と会長の立場から高く評価している。

 しかし、小学校で活躍した子どもが大きく成長するか?と言えばそうでもないようだ。
 「だから一貫指導をしたら良いのだ」と言うがこれはこれで非常に難しいものがある。
 一貫指導の目的は「人間の能力を高めるための手段」であり「人間をどのように変えていくか」という方法論を求めなければ失敗する。というより誤った方向により強く進んでしまう。子どもたちは時期に応じた刺激の与え方次第で、大人が考えている以上に伸びる可能性を秘めているからである。

 1992年に筑波大学に内地留学していた時にS教授からうかがった話を紹介する。
 「学校体育における投てきに限って言えば、高校生に欠落している部分の多くは小・中学校時代から来ている。それは、小・中学校の指導者に野球やソフトボールなどをやっていさえすれば、投運動は満足されたものと考えてしまう指導者が多いからだ。」
 さらに、「投擲とは、『投げる動作を教える』ことはもちろん必要だが、『力の出し方を教える』という考え方を持つこともきわめて大切なことだ。力を出せる姿勢が力を発揮し、結果として物体が遠くに飛んでいくのである。従って、小さな頃から力の出し方を教えておけば、身体機能の充実に伴って自然と物体は遠くに飛ぶはずだ」と結論づけた。
 私は今でもこの考え方が好きで、短距離や跳躍に応用している。

 一貫指導、一貫指導と言われているが、そもそも小〜中学校くらいでは本当にそのスポーツに合っているかどうかの判断は難しい。興味をもってしているのか、やらされているのかもわからない。
 一貫指導を一人の指導者が継続するのも難しい。どうしても教えすぎてしまう傾向が強いようだ。人間という器がいっぱいになっていないうちは、どんどん水を入れたくなるものだ。いっぱいになっているのに、まだ水を入れたがる。ここで一貫指導は終わっているのだ、実はね。
 ということは、一貫指導は先走る若者を良しとする傾向にあるようだ。ということは、やはり指導者の理想の型にはめる方が近道となる。そもそも、人間の能力が成長し続けることなどありえないのだ。ただし、創造力などは別だ。創造性豊かな方はいつまでも想像力を発揮し続けている。
 しかし、型にはめたら創造力を持っていても発揮できん。

 そこで提言だ。
 一貫指導が順を追って型にはめて行くことを理想とするならばるならば、たくさん穴のあいた型に入れてやることだ。そうして、その穴から溢れ出るものがあっても、「ダメだ」と言わず、見逃してやることだ。

 一貫指導にはマニュアルがつきものだ。このマニュアルこそ型であり、一貫指導を提唱する指導者は自分の考えたマニュアルから離れたくないものだ。

 一貫指導は共通理念で行うものだ。共通理念を具現化するのが現場の指導者だ。時に応じ、機に応じ、バランスの良い発想を持つ指導者同士のバトンパスがなければ成功はありえない。

 中高一貫教育が進学率でその成功か否かを判断されてしまうのと同じように、スポーツ界でも同じような状況が起きることは目に見えている。
 一貫指導とは、あくまでも「人間の能力を高めるための手段」であることを忘れてはならない、とは今稿最初に発した言葉。問題はそこにあるのだ。だいたい、人間の能力がマニュアル通りに高まるはずはないよ。人間ってそんな単純じゃないでしょう。

 それにしても、世の中理不尽に動いているのですなー。やはり朋(師・志を共通に持つ友)との合作での指導がよろしいですかね。

 
 
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