時々康駿    第12回(2012.8.3.)       

 インターハイの陸上競技が終わった。
 京都・洛南高校が28年ぶり3度目の優勝を飾った。洛南を変えたと言われる元校長の三浦先生の「念ずれば花ひらく」をまさに地で行ったようだ。

 洛南とは古い付き合いだ。指導者は今年を最後に勇退する(と本人は言っている)N先生と、N先生の教え子のS先生である。もちろん洛南ファミリーは数多くいる。
 N先生との出会いは、今から30年以上前に筑波大学のS教授と一緒にゴルフをした時からだ。その時使用されたパターが我が家にあり、今朝手にとって打ってみた。
 S先生とはソウル五輪の北海道合宿でゆっくり話してから親しくなった。
 その後、お二人とは近いお付き合いをさせていただいている。修学旅行でお世話になったり(?)、栃木インターハイでは補欠選手の宿舎を紹介したり一緒に飲んだりした。また、4年前には先生方が間に入り(と思われる)京都陸協の強化練習会の講師として呼ばれたこともあった。
 その洛南が優勝したのだから嬉しいに決まっている。

 今年の洛南には個人種目もさることながら、団体での戦いぶりに興味を持っていた。ひとつは二年連続両リレー同時入賞であり、もうひとつは総合優勝であった。
 しかし神は試練を与える。4×100mRの予選でアンカーがフィニッシュを前に肉離れを起こしたのだ。それでもプラスで拾われ準決勝に進出したが暗雲が立ち込めたのは否定できない一日目であった。
翌朝サブトラックでS先生に会う。彼の話を要約すれば「肉離れは仕方がない。残ったメンバーでなんとか頑張る。マイルはきつい」であった。それに対し私は「最後まで粘れ。総合優勝に向かっていけ」と激励した。しかし、4×100mRは準決勝落選。混成競技は優勝したものの、頼みの走幅跳は予選敗退となる。
そうして迎えた最終日。三段跳が9位と1cm差で二人ベスト8進出。マイルはなんと3位入賞。結果総合優勝達成である。
 昨日は遠慮し、今朝S先生に電話した。
 「実は走幅跳が終わったとき、競技場から逃げ出したんですわ『なんでこんなに苦しまなきゃならんのか。もうエエは』と思いました。三段がああなっていなかったら、マイルは走れんかったと思います。初めてマイル走る子もいたんですよ。信じられない力を出してくれました。先生にはいつもいつも声かけてくだはってありがとうございます」
 「あなたの普段からの指導が本番で使命感に変わった。指導が勝つことだけに偏っていたら立ち直れずにズルズル行ってしまったと思う。指導者の勝利だよ」

 1.2年生に限って言えば、インターハイ出場者と残留者の差は大きい。ある生徒が微妙な差でインターハイ出場を逃したとする。その時は次年度の再チャレンジに意欲を燃やすことと思う。しかし、意欲満々はしばらくの間だけな選手が大部分なのが現実だ。再チャレンジといっても翌年の相手はほとんど変わる。再チャレンジなどといった自己陶酔的な心境では戦えるはずがない。再チャレンジ失敗ということになってしまうのがオチだ。
 脳はすぐに忘れられるようにできている。自覚なしに堆積はしているが。微妙な差で負けた程度の人生体験などが強く刻み込まれていたら、脳は「やってられない」はずなのだ。
 多くの再チャレンジを誓った選手や指導者が方向のずれた分析をし、自分勝手な論理で一年後に再チャレンジしても勝負は目に見えているのだ。
 そんなことを考えながらインターハイから戻り、早速JUVYの練習に参加した。
いたよ!このクソ暑いのに手を抜かず食らいついてくる若者が。体も脳も活性された言動で練習している。こんな生徒なら堂々とチャレンジ宣言ができるかもしれない。

 昨年の北上インターハイで同一年度両リレー同時入賞した滝川第二(兵庫)は県予選のマイルで失敗。洛南は上述の通り。今年1年目をクリアーしたのは相洋(神奈川)のみ。どこまで伸ばせるか注目したいし、滝川第二や洛南もこのまま引き下がるわけがない。(そういえば、滝川第二の校長は大学時代の合宿所の先輩で、4月に飲んだことを思い出したが、それはどうでも良いことか、それとも縁続きか。)佐野高校の3年連続記録に並び4年連続を達成するのはどこの高校になるか、その時はその高校の指導者を訪ね祝杯を上げたい。

 インターハイが終わりオリンピックが始まる。
 これまで一緒に練習してきた黒沢尻北のO君は持ちタイムランクになど怯むことなく、インターハイの予選において自己新を大きく更新した。このようなことを達成できる競技者感性こそどのような場でも必要とされるものなのだ。それがオリンピックであろうとも…。

 明後日から黒沢尻(現北上市)に合宿に行く。オリンピック負け組合宿とでも言おうか。
ネクストステップ。こんな状況の時が最も大切なのだ。


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