時々康駿    第19回(2013.1.8.)       

 2013年、平成25年という新しい年を新しい気持ちで迎えられたことと思います。おめでとうございます。


 昨年暮れの合宿は参加者の強烈な迫力に圧倒された。と、同時に競技者は「強くなるために飢えている」ということをあらためて実感した。


 あまりの毒気のためか、30日の午後から体調がおかしくなり1日の午前中まで青息吐息だったが、なんとか回復し箱根駅伝に行くことができた。48時間以上血中よりAl.が抜けたのはいつ以来だろうか。今年はやはり「健康宣言実行の年にせよ!」とのお告げと素直に思った年明けであった。


 さて、箱根駅伝である。今年は車3台で出かけた。戦前は「駒沢、東洋の2強を早明が追う」というもっぱらの予想であったが、私は日体大OBのT氏を先頭付近を中心に観戦する車に乗るよう計画した。その車には早明OBも一緒にした。結果は読み通りになった。
私はもっぱらシード権争いの10位前後を見たいと、例年とは違う形を選択した。ところが、私の車以外は土地勘も時間勘も全くなく「警察の考えはお見事」というくらい箱根駅伝とその関係者の思惑に翻弄された。つまり、私どもの車はほぼ思惑通り箱根駅伝を観戦することができたのだが、他の2台は1日午前中までの私から襷を引き継ぎ青息吐息であった(らしい)。
私のような劣等生は学校の試験は教師との戦いと考えていたから、試験対策といえばもっぱら教師の性格を読むことから始めていたくらいだった。優等生のようにすべての範囲を勉強するわけではないから学は身につかなかったかもしれないが、そのぶん「読み」は鋭い。(高校生諸君はそれではいけません…著者注)この鍛え上げられてきた「読み」が土壇場に来て発揮されるのだ。事実、他の車の責任者は予習十分なのに敗れ去って(何に?)いるのだ。
 
 今年の箱根駅伝の車中で考えたことは、これれまでとは少し違う。以下、今年の思いである。
箱根駅伝は読売系を筆頭にマスコミに大きく取り上げられ、正月の話題を独占するような勢いは年々凄まじくなってきているが、よくよく考えれば、それは関東の片田舎の陸上競技、しかも駅伝(長距離)というものに限定された小さな出来事であり、私の使命にとっては実質的な影響力はあまりもたないものなのである。物事を見たとき、情報を得たとき、そのことが自分の使命に対して大きな意味を持つものか持たないものかを見極め、必要とされる何かを抽出できる感性を大切にしなければならない、ということは常々述べてきた。
 そのような観点から今年の箱根駅伝でひとつだけ感じたことがある。順天堂大学の凄さである。優勝した日本体育大学は素晴らしい。誰もが認める快挙である。「復興日本」の願いを込める全国民に勇気を与えるものであったことは米粒ほども否定はしない。順天堂は数年前まで王者に君臨していた。しかし、箱根山中での失敗から予選校に落ち、遂には本戦出場もかなわない普通の駅伝大学になりつつあった。そうして昨年、予選をギリギリ通過しながら本戦は7位。私の感性を揺さぶったのは、今年その順位をひとつ上げ六番目に大手町に帰ってきたことなのである。
 人間というものは所詮ギャンブルが好きなのかもしれない。一度落ちた者が一気の復活を夢見る。イチかバチかの大勝負での勝利を夢見る。All or Nothing という言葉もある。しかし、事実は違う。目覚めたら大富豪は人生ゲームだけなのだ。
 順天堂はいぶし銀の強さを見せてくれた。同乗したN君も3年前に日本インカレで総合優勝し、今回のような強さを見せてくれた。(5月の関東インカレは総合4位であった)
順天堂の戦いぶりは私の好むところだ。マスコミには登場しない「勝者以外の勝者」は存在する。この考えを全うしたチームはチーム内の歴史に深く刻まれるのである。
順天堂は数年前の「勝ちに負けず」、ここ数年の「負けに負けず」、チームカラーを堅実に歩み続けたものと信じて疑わない。


 『止めることのできない性欲のような、人間の知的好奇心という脳の暴走に歯止めをかけねば人類はやがて破滅に向かうだろう。(梅棹忠夫)』
この言葉を箱根駅伝に当てはめるなら、
『止めることのできない性欲のような、箱根駅伝勝利至上主義という脳の暴走に歯止めをかけねば…』となるが、これは言いすぎであろうか。


 有馬記念〜冬合宿〜クラブ納会(ゴルフ付)〜私の誕生日〜大晦日〜元旦〜箱根駅伝〜初詣〜金杯
それにしてもすごい年末年始ですな。





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