時々康駿    第5回(2012.5.31.)       

 岩手県北上市にはこれまで何度もお邪魔しているが、今回の趣旨はこれまでのものとは違う。アドバイザーとして練習の支援でなく、試合の支援という、私としては初の体験となった。これまでも、今回の内容に類似することはたびたびあった。再来週開催される日本選手権などはその最たるものである。しかし、これまでのものは関係する選手とのつながりの深さによりアドバイスには当然凸凹が生じていた。また、指導者同士の遠慮もあった。
 しかし、フリーな立場になった私をC氏は見逃さなかった。私はこの企画を持ち込まれたときに、その趣旨は言われなかったが、私なりに感じていた。感じたこととは「遠慮はいけない」ということであった。
岩手県高校総体は東北大会とほぼ同じ日程で4日間行われた。一部は全日制、二部は定時制として開催されるため東北大会の日程に近く、プログラムの間合いが非常によい。関係者も定通総体との二本立てから解消される。
 そのような中、100m11"4から10"91や400mH57秒から55"3などという成果も上がった。この二人にはサブトラックから思う存分やらせてもらった。
 栃木県選手権の速報を聞きながら、いなくても伝わっている選手はいるな、などと思いながら四日間を過ごした。

 土産話と言っては御幣があるが、伝えたいこと二点を簡潔に。
 一点目。
 おいおい、練習の時と試合の時のアップが同じじゃないのか?
試合のアップは心や身体を十分にほぐし、大会の雰囲気に適応するためのものなんだぜ。
サブトラックでドリルを一生懸命やるのもいいが、それがその日のパフォーマンスを高めるためのものでなければ時間だけでなくエネルギーの無駄になっちまうよ。
試合の日のアップは、試合結果が自分の持つ実力以下にだけはならないようにすることを考えてやってみなよ。
 二点目。
 いやー、栃木の高校総体、関東ICと二週連続集団応援を見て聞いてきたが、岩手の高校生のエネルギーには驚いた。
 これが復興(再興)のエネルギーかと思いきや「No!震災前からです」とはC氏の話。
 高い山に昇る時、頂上にアタックするのは数名なんだ。
 しかし、基地には多くの人が成功を信じ、祈りを捧げながら帰りを待っているんだな。
 だからこそ、選ばれし者も安心してアタックできるというわけだ。
 競技者の基地はどこにあるか考えたことはあるかい?
 競技者の基地は仲間の心にある。その心は光よりも速く、いや瞬時に闘う者へと伝わり力を発揮するはずだ。

 ところで、指導者はベースキャンプにいればよいのかな。
 アタックは基地の意味がわかる強壮なる若者に任せてね。



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